デジタルヘルスの検索キーワードの探し方

本日は、デジタルヘルスの特許調査で検索に使うキーワードを探す方法(裏技?)を一つご紹介したいと思います。

今回は事例として、遠隔診療(Telemedicine)用の聴診器(Stethoscope)について、遠隔診療についての関連キーワードをできるだけ集めて見たいと思います。

1. まずGoogle先生に聞いてみる

これは、比喩的な意味ではなく、本当にGoogleに『質問』してみるのです。

まず、Googleの検索サイトを開いてみてください。(https://www.google.com/

開いたら、検索ボックスに、下の質問を入れて検索してみます。

 Which patent  relate to  stethoscope for telemedicine? site:patents.google.com

質問としては、「どの特許が遠隔診療用の聴診器に関連しますか?」という意味で、「site:」以降の「patents.google.com」は、Googleが各国の特許公報の情報を全文テキストを含めて幅広く収集しているサイトで、今回入力した質問では、このサイトに限定して検索するということを表しています。検索サイトを限定することで、特許情報だけを検索対象に含めることができます。

上の画面が出てきましたか? 件数を見ると、1730件の特許がヒットしています。

ヒットした特許のタイトルを眺めてみると、質問で入力した「Telemedicine」だけでなく、「語尾が変化した「Telemedical」や、その他にも「Electronic」、「Digital」、「Wireless」、「Remote」などの関連しそうなキーワードが見えてきます。

次に、特許専門のデータベースでこれらのキーワードについて検証してみたいと思います。

2. 特許データベース(Espacenet)で検索する

ここでは、欧州特許庁が運営する特許データベース “Espacenet” で検索してみます。

この “Espacenet”は運営は「欧州」特許庁ですが、ヨーロッパの特許だけでなく、米国や日本、中国も含めて多くの国の特許を収録している、無料で使えるデータベースの中では最強のデータベースです。

まずは、Espacenetにアクセスしてください。(https://worldwide.espacenet.com/patent/

「Enter your search terms」と書いてあるボックスに下記のように入力します。

ctxt=("telemedicine" prox/distance<10 "stethoscope")

なんか呪文のようですが、これは特許明細書クレーム、タイトル、要約の中で「Telemedicine」と「Stethoscope」が10語以内に記載されているものを検索するという意味になります。

これで検索すると下記のようになります。

21件ヒットしました。

同じように、他の関連キーワードでも試してみた結果が下記になります。

  • ctxt=(“telemedical” prox/distance<10 “stethoscope”) 2件
  • ctxt=(“electronic” prox/distance<10 “stethoscope”) 1025件
  • ctxt=(“digital” prox/distance<10 “stethoscope”) 284件
  • ctxt=(“wireless” prox/distance<10 “stethoscope”) 283件
  • ctxt=(“Remote” prox/distance<10 “stethoscope”) 128件

関連キーワードを追加するだけで、より多くのヒットが得られることがわかりました。

3. まとめ

今回、検索の関連キーワードを探すという作業をGoogleを使って行いましたが、この作業は以前はかなり検索者の経験や時間が必要になることでした。

この作業が誰にも簡単に出来るようになった背景には、2019年10月にGoogleが採用した「BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)」という新しい自然言語処理技術の力によるところが大きいと思われます。(技術内容を詳しく知りたい方は解説しているブログが沢山あるので、「BERT,Google」で調べてみて下さい)

人工知能は検索者の意図(文脈)を汲み取って、的確に必要な情報を提供できるようになって「検索」という作業がとても身近になったと思います。

ただ、弊社でも特許調査を行っていますが、「網羅的」に漏れなく調べるとなると、まだ人の手が必要が必要であると感じています。

私自身も上手く人工知能を生かしつつ、これからもより良い検索方法を考えていきたいと思います。

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